空気を読んだらこうなった。

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福岡:自己とは何か、という問いに生物学はどこまで答えられるかわかりませんが、一つヒントになるのは、細胞のメカニズムです。細胞はあらかじめ心臓の細胞になったり、脳の細胞になったりといった風に機能が決まっているのではなくて、「君が心臓になるなら、僕は筋肉になる」とか、「君が脳細胞になるなら、僕は頭がい骨になる」といった風に、まわりの細胞の動きにしたがって、まさに「空気を読みながら」変化していくんです。一つの細胞はせいぜい前後左右の細胞としかコミュニケーションがとれないのに、全体としてはうまく機能するようになっている。これを「相補性」と言います。反対に一つの塊になった細胞をバラしてしまうと、自分が何になったらいいかわからなくなってみんな死んでしまうんです。細胞よりさらにこまかいタンパク質や、分子のレベルでも同じことが言えて、パズルの一ピースのように組み込まれるとある役割を果たすけれども、一つだけでは何の役にも立たない。ほとんど無限の入れ子構造が成立しているんです。

 

 

(文春文庫『六つの星星 – 川上未映子対話集』 福岡伸一との対談「生物と文学のあいだ」より抜粋)

 

 

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自分の役割は、自分以外のすべてが決める

 

 

 

……という説を

 

私が確信をもってとなえ始めたのは、

 

まあ、最近のことではありますが

 

それと同じことが、生物学の中でも言われているとは!

 

こういうのって妙にうれしいですよね。

 

 

 

ひとつの細胞は、あくまで細胞でしかなくて、

 

心臓の細胞の素(もと)と

 

筋肉の細胞の素(もと)との間には、

 

最初の段階では差異は認められなくて、

 

でも、

 

自分がたまたま位置した場所において

 

「あ、ここでは、こういう動きをする細胞が必要なんだな」

 

「俺、たまたま身体空いているし、

 

なんか知らないけどそういう風に動けるし、

 

やってやってもいいぜ?

 

……っていうかやらせてください!」

 

みたいな風に、それこそ「空気を読んで」、

 

本来「なにものでもない細胞」であったものが

 

「心臓の細胞」になったり、

 

「筋肉の細胞」になったりしている、

 

っていうことですよね。

 

(違っていたらごめんなさい。)

 

 

 

人間とまるきり一緒じゃないか。

 

 

 

いや、ほんと、よく考えるんですよ。

 

私は、いったいどうして

 

こんなことをしているんだろう、って。

 

まあ、主に仕事の面でね。

 

どうして「小出遥子」は

 

こういうお役目についたんだろう、って。

 

 

 

もちろん、そこに悲壮感や後悔があるわけではないのですが

 

(むしろしみじみとしたよろこびの中でやっているのですが)

 

でも、考えれば考えるほど不思議なんですよ。

 

 

 

本来「なにものでもないもの」として生まれてきたのだから、

 

(可能性としては)なんにでもなれたはずなのに、

 

考えれば考えるほど、

 

いまここのこの私しかあり得なかったというか、

 

いまここの私に続く道は、

 

それはそれは見事な一本道でしかなかったなあ、って。

 

 

 

で、ここからが大事なのですが、

 

その「道」を作ったのは、

 

決して自分じゃなかったなあ、って。

 

道を作ってくれたのは、自分以外のすべてであって、

 

自分がしたことと言えば、

 

やっぱり「空気を読んだ」ぐらいのものなんだよなあ、って。

 

 

 

「え、この道って、

 

もしかして私のために用意されているの?

 

あ、やっぱりそうなの!?

 

そうしたら……ありがたく歩ませていただきますね……

 

な、なまんだぶなまんだぶ……」

 

みたいなね(笑)。

 

でも、まあ、ほんとうにそんな感じ。

 

 

 

仏教で言えば「縁起」っていうことになるんだろうな。

 

ぜんぶ「縁」の中で起こってきたことであって、

 

そこに自分の意志なんか、1ミリだって反映されていなくて。

 

 

 

不思議なような、ぜんぜん不思議じゃないような、

 

でもやっぱり不思議……。

 

 

 

不思議だけれど、ここにはよろこびがあるなあ。

 

全体との「本来的な」つながりの中にあるよろこび。

 

なにものにも代えがたい、感謝とともにあるよろこびです。

 

 

 

なので、「縁」がそのようである限り、

 

私は、ここで、「小出遥子」の役割をまっとうし続けます。

 

 

 

がんばるよ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京はしっかりとした雨が降っています。

 

よい一日をお過ごしください◎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

©Yoko Koide